テレワークの始まり
僕は今テレワークで仕事しています。
きっかけはコロナでした。
最初は慣れないテレワークに戸惑っていましたが、あれこれ2年ほど経ってすっかりテレワークも定着してきました。
テレワークは慣れると快適ですよね。
荷物が届いたときでもさっと受け取れるし、コーヒーとかお茶とか飲みたいときにすぐに飲めるし、トイレもいつでも行けるし、室温は自分のちょうどいい適温にできるし僕にとってはメリットしかありません。
あとは、嫁さんが出かけてるときに子供が学校から帰ってきてもカギは開けられるし、重いもの運ぶときはさっと手伝えるし、家の中に虫が出てきて大騒ぎになってるときも虫退治ができます。(このへんは僕のメリットではないですが)
夜ごはんもテレワーク前はいっしょに食べることはできなかったですが今では夜ごはんも家族といっしょに食べています。
効率化の面でも、会社で仕事してるときの割り込みがほぼなくなったので、自分の仕事に集中できるようになりました。
いかにこれまで割り込みで集中力をそがれていたか実感しています。
もうテレワーク前の状態には戻れないです。笑
テレワークの終わり
コロナもようやく落ち着いてきた感が出てきて、「テレワークを終了して出社」という話題も目に付くようになってきました。
最近だと、自動車メーカーのホンダが原則出社というニュースがありました。
ホンダがテレワークやめ原則出社に踏み切る真意 | 経営 「Hondaとして本来目指していた働き方を通じて変革期を勝ち抜くために、『三現主義で物事の本質を考え、更なる進化をうみ出す toyokeizai.net
大手企業は、コロナが収まっても基本的にテレワークは続けるものと思ってましたが、ホンダは原則出社に踏み切りました。
週何日という話ではなく、毎日出社ということです。
このニュースを見たとき、驚きと「あー、ホンダ残念だなー」という気持ちになりました。
カーボンニュートラルという崇高な目標を掲げたホンダだから、きっとテレワークでも仕事ができるような環境を目指しているのかと思っていましたが、意外とレガシーな考えに戻ってしまったようです。
もちろん、業種や担当業務によってテレワークにも向き不向きはあるのは理解しています。
車を作る人たちにとっては現物を見たり、人が集まって議論を重ねたり、それこそ「ワイガヤ」が必要なのは何となく想像はできます。
でも、それだと普通の考え方で何も新しくありません。
ホンダだからこそ、「テレワークでどうやっていい車を作るのか?」を考えてほしかったですね。
例えば、メタバースのような仮想空間上で、車づくりのシミュレーション環境を用意して、本物の車の部品やパーツを仮想空間上で再現して、仮想空間上で車づくりができるようにします。
仮想空間なので、デザイナーが車のデザインした車もすぐに「仮想空間上の実物」としてすぐに実現できます。
部品の金型も、金型があればすぐに仮想空間上に部品を作れます。
組み立ても、仮想空間上に工場のラインを用意して、実際に工場をシミュレーションする形で再現します。
テスト走行も、仮想空間上に用意したニュルブルクリンクでテスト走行をします。テストドライバーもVRで仮想空間上でテスト走行ができるようになります。
シミュレーション環境なので、AIによる分析も非常に簡単にできます。自動運転も仮想空間上でやれば精度がどんどん向上していきますね。
そして、仮想空間上で作り上げた車を現実世界にフィードバックして、現実世界でもテストを行って、その結果をまた仮想空間でフィードバックするようなループを繰り返せば、車の開発スピードが大幅に上がります。
・・・という感じのことをホンダには期待していました。
そうすれば原則出社でなくても、ほとんどテレワークで車が開発できるという夢のようなことが実現できます。
もちろん夢を実現するには投資が必要ですが、チャレンジ精神のホンダだからこそ「テレワークでの車づくり」にチャレンジしてほしかったですね。
直近の成果だけを考えると、原則出社にすれば一時的に成果は出るかもしれませんが、テレワークが定着した現在においては人材離れも懸念されます。
日本の人口の右肩下がりに伴って労働人口も減少の一途をたどってますので、優秀な人材確保は企業の大きな課題となるでしょう。
三現主義「現場、現実、現物」という思想を重視して、原則出社に踏み切ったという話もありますが、物事のとらえ方がレガシーな感じがします。
「現」はこの現実世界だけでなく、仮想空間上で「現」を再現させればいいと思うのです。圧倒的な開発スピードが手に入るはずです。
エンジニアの視点では、「いかに仮想空間でできることを増やしていくか?」がテーマだと思うので、そういった意味では今回のホンダが原則出社のニュースは、「エンジニアリングの技術がまだまだ未来にたどり着いてない」という事実を受けて、エンジニア的に「残念」という思いにもなりました。
ホンダが「車づくりはテレワークで十分」と思えるようなエンジニアリングができあがってないということでもあると思うので。
とにかく、ホンダが原則出社に踏み切ったからといって、短絡的にIT企業も「出社のほうがいいのかな」と間違った考えにならないで欲しいと願っています。
テレワークのこれから
原則出社に踏み切る会社がある一方、「原則テレワークを継続」する会社も多数あります。
僕たちのようなITエンジニアは、比較的テレワークの人が多いのではないでしょうか?
ITエンジニアが扱うものは、サイバー空間に存在するものがほとんどですので、テレワークでも十分なわけです。
一部、サーバやネットワーク、ストレージ、データセンターなど、物理的なものを扱う業務がある人はテレワークでも難しいこともありますが、サーバやネットワーク、ストレージはずっと物理空間の物を扱うことは少なく、おそらく障害対応や新規構築のときくらいではないかなと思います。
それ以外はリモートから作業を行うサイバー空間での業務になると思いますので、ほぼテレワークでもできます。
今ではクラウドの導入も進んできていますので、昔は机の上に置いてあったPCもクラウド上でデスクトップ環境を利用できますので、ますます出社する必要がなくなりました。
もはやテレワークでダメな理由を探すほうが難しくなってきましたが、テレワークが1、2年と経過して、課題も見えてきました。
自分の会社の状況や、いろんな記事を見ているとどこも同じような課題があるのではないかと思います。
テレワークの特徴、課題
- 中堅・ベテラン社員や、自分の立場やミッションを確立できている社員は集中できてパフォーマンスが上がる。
- 新入社員や経験が少ない社員、また立場やミッションを確立できてない社員はパフォーマンスが上がらない。(要するに、「僕は何やればいいですか?」という人たちはパフォーマンスが出ない)
- 提案待ち上司や、働かないおじさんたちもパフォーマンスが出ない。(というか、テレワークになってますます何やってるかわからない)
- 理由はわからないが会議がやたら増えた。
- 横のつながりが無くなった
- 同じグループや近くのグループでも業務やプロジェクトが違うと全く情報が入ってこない。(出社していると、席の近くの人の話が聞こえてきたり、話に巻き込まれたり、何らかの情報が耳に入っていた)
他にもあるかもしれませんが、思いつくのはこれくらいでしょうか。
「こんなに課題があるのであればやっぱり出社が一番」という短絡的な考えを持つ人もいるようですが、単に目的が「会社に行きたい!」という寂しがり屋な人なのでしょう。笑
課題があるなら、課題を解決することに価値があるのです。
テレワークにデメリットしかないのであれば、出社も選択肢になるかもしれませんが、テレワークにもメリットがあります。
先に挙げた例では「1.」がメリットですね。
自分で課題を見つけて自ら推進できる人は、一般的にテレワークのほうがパフォーマンスが上がります。
優秀なITエンジニアはテレワークを希望する人も多いので、将来的には優秀な人材が集まる可能性が高いです。
これらのメリットを捨てるのはもったいないので、テレワークをやめるのではなく、テレワークの課題を解決することが重要です。
「4.」、「5.」、「6.」に関しては、「こういった事象がある」というだけで、直接何にどう悪いのかはケースバイケースなのでよくわかりません。
「何となく良くないことかな」と思うだけで実はそれほど大きな課題ではないのかもしれませんね。
それより問題は「2.」と「3.」のパフォーマンスができない人たちでしょう。
実はこの「2.」、「3.」の人たちは、出社していたとき「1.」の人たちがフォローすることによって業務が成り立っていたので、「1.」の人たちのフォローが無くなった瞬間、
「僕たちは何をすればいいの?」
状態になってしまうのです。
言い方は難しいですが、要するに「1.」の人たちのパフォーマンスを削って成りたっていました。
テレワークの課題として、重点的に対策が必要なのは「2.」、「3.」です。
テレワークの課題を解決するには?
先に挙げた「2.」、「3.」のようなパフォーマンスが出ない人たちはどうすれば、いいでしょうか?
「2.」に関しては、意欲はあるがどうやればいいかわからないという人たちが多いと思いますので、「1.」の立場の人たちのフォローが必要になります。
出社していたころやっていたように、たまに電話で話しかけるとかチャットで様子をうかがってみるとかは効果的です。
出社していたころと違って、彼らから話しかけられて割り込まれる回数は減ってるはずなので、自分の都合に合わせて様子をうかがうのはそれほど負担にはならないのではないかと思っています。
あとは細目にアウトプットを確認してあげると、しだいに出社してたころと同じくらいのパフォーマンスを出してくれるでしょう。
これでもパフォーマンスが上がらない人たちもいるにはいますので、その人たちは別の問題を抱えている場合もありますので、別アプローチの検討が必要かもしれません。
一番困ったのが「3.」の人たちです。
お客さんや上位の誰かに何か聞かれても、
「〇〇にやらせてますので、少しお待ちください」
とか
「〇〇社からの提案待ちです」
とか
下から何か相談を持ち掛けても
「そのうち〇〇に相談しておくよ」と言いながら、いつまでたっても進展しなかったり、
とか
「それは自分たちで考えてね」
とか
自分の考えを持つことも行動する気配を感じることも全くありません。
昔はバリバリ働いていた人も、定年に近づくにつれて「働かないおじさん化」する傾向があるようです。
まぁ、このあたりはテレワーク関係なく、年功序列の日本企業特有の問題といえるでしょう。
テレワークによって姿が見えないので、よりいっそう「働かないおじさん化」が目立ってるだけで、テレワークの課題とは切り離して考える必要があります。
「働かないおじさん」が出社していると、「パソコンが動かない」とか「会社から〇〇の案内が来てるけど、意味が分からない」とか無駄に割り込まれることも多いので、テレワークによって「働かないおじさん」から割り込みが少なくなったのは実はメリットなのかもしれませんね。笑
そう考えると、テレワークで見えてる課題は「2.」に絞れそうですので、このあたりを重点的にフォローすれば、テレワークはメリットのほうが圧倒的に大きくなっていくことでしょう。
原則テレワークに踏み切る英断
テレワークをやめて原則出社にする企業がある一方、NTTグループは実質原則テレワークに踏み切りました。
NTT「3万人テレワーク」が日本経済に変革ドミノをもたらす NTTグループは7月から、主要7社の従業員3万人規模にテレワークを導入するという。この取り組みは、日本経済と日本企業に変革 diamond.jp
先に述べたように日本の労働人口減少に伴う人材確保の課題は、企業が考えなければならない最優先課題と思っています。
そもそも人材がいなければジリ貧になるのは誰が考えても間違いない未来だからです。
NTTの場合は、製造業とは違って比較的テレワークに向いている業務が多いかもしれませんが、僕はNTTの英断だったと考えています。
きっと、若い人たちはこのニュースを見てNTTを好意的にとらえた人が大多数でしょう。優秀な人材も集まりやすくなります。
まとめ
テレワーク賛成派として、テレワークが続いてほしいという思いで記事にしました。
コロナもそろそろ収束しつつある中で、短絡的に出社回帰の流れのニュースもちらほら見かけるようになってきたので、すべての企業、すべての業種で一律に考えを述べることについては、
「それは違う」
と考えています。
何事も情報を整理して深堀しないと正しい判断はできません。
IT企業はじっくり未来を見据えてテレワークを考えてほしいと願っています。
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